こんにちは、みのんです。
今回は「どうやって論文を読んだらいいかわからない」と悩んでいる学生の方向けに
「論文の読み方」について紹介したいと思います。
この話題に関して、以前こんなツイートをしました。
実験のやり方や原理は教えても、論文の読み方や問いに対する仮説の立て方等を教えてくれる人が少ないのは何でだろうと思ったけど、多くの人は経験から感覚的にやっていて、体系立てて説明できる人が居ないんじゃないかと思う。自分も後輩に教えようと思って始めて整理し始めたけどこれがけっこう難しい
特に、研究室に配属されたばかりで手探りで論文を読むのは辛いですよね。
実際、私が研究室に配属されて、論文を初めて読み始めたとき、「どうやって読み進めればいいんだろう?」とかなり悩みました。
それから5年近くが経ち、今では大量に論文を読んできたおかげで、何となくやり方を掴んできたので今回はそのノウハウについてお話します。
時期によってバラツキはありますが一日平均で最低1報、多いときでスクリーニング的に10−20報は読むので、これまでに最低でも2000〜3000報の英語論文は読んでいます。
少なくとも、研究室に配属されたばかりの学生の方に比べれば圧倒的に量をこなしているはずですので、ある程度の信頼性の担保になると思います。
それでは下記よりご覧ください。
ちなみに、この記事では「医学系ジャーナル」を読むことを前提に、自分が思う「論文の読み方」をまとめています。
英語論文の読み方
大雑把に分けると、英語論文の読み方には主に2通りあることを知っておいてください。
それら2つは情報の見つけ方によって区別できます。
具体的に言いますと、
- 明確な目的があって検索して見つける
- 偶然見つける
の2つです。
何か物をなくしたときに、「あのときは持っていて、○○から使った記憶がないから、○○にあるかも!」と思って予測して見つかる時と、
そのときは見つからなくても、後日、探してもいないときに偶然見つかる時がありませんか?
論文の読み方もこのように2つあるわけです。
仮説に基づいてスクリーニング的に読む
こちらは、研究室に配属されたばかりの学部生の方には少し難易度が高めですが、
前者の「明確な目的があって検索して見つける」はこちらのパターンです。
何かしらの実験データが出て、それを説明する理由、そこから何が言えるかを考える上でいくつか仮説を立てて、その仮説を支持する論文はないか?
逆に相反する論文はどうか?
という視点で論文探しをします。
このときは、その仮説を支持する情報をとにかく速く探し出すために、全体をじっくり読むような読み方はしません。
Control (MacならCommand) + F
で目的のキーワードのみを探索しながらスクリーニング的に読みます。
この方法はぜひ知っておいてください。
後輩達に論文から情報を探すのが異常に速い、と言われる理由の1つがこの方法です。
こちらの方法は「その場で欲しい情報をすぐに見つける」という点で優れています。
とにかく知識を増やすためにじっくり読む
今回のメインテーマはこちらです。
「自分のテーマに関する知識を深める」ために論文を読むときはこの方法になります。
また、ラボの文献紹介(ゼミ発表、ジャーナルクラブ)などでの読み方はこれにあたると思います。
文献紹介のやり方、準備の方法については以下の記事でもまとめています。
今回の記事のテーマはアイデアを生み出す「既存知識」である論文を読んでインプットを増やす事が目的なので、こちらの方法についてのお話になります。
こちらの方法は明確な目的があって調べるわけではないですが、
「探し物がふとした拍子に偶然見つかる」ように潜在的に求めていた情報が見つかることがあります。
私も昔は、前者の「その場で欲しい情報」を見つける方法で論文を次々に読み飛ばしていました。
ですが、最近になってじっくり読むことで「潜在的に欲しい情報を”偶然”見つける」方法の重要性を身に染みて感じています。
こうした情報は前者の「その場で欲しい情報」を見つける方法では見つけることが難しいからです。
いくら探しても見つからなかった情報が、たまたま読んでいた論文の Introduction やDisucussion のほんの1文にヒントを見つけ、そこから欲しい情報にたどり着けたことが何度もあります。
ですので、まずはこちらの「じっくり読むことで知識を増やす」方法について覚えていきましょう。
準備編【最初は日本語から入る】
論文をスラスラ読むためには「英語力」「知識量」の2つが重要になるので、大雑把ですが以下の様な図式が成り立ちます。
論文 = 知識量 × 英語力
つまり、論文をスムーズに読めためには、知識と英語力の両方を身に付ける必要があります。
初めて英語論文を読む場合、最初は知らない英単語だらけのはずです。
一行読むたびに知らない単語が出てきて、その状態で中身を理解するのはしんどいです。
なので、まずは日本語総説などを使って知識を入れることをおすすめします。
そうすることで、英語論文を読んだときも、英単語さえ調べれば、ある程度読めるようになってきます
ちなみに、欲しいテーマの日本語総説を探すときは、
キーワード + スペース + PDF
でGoogle 検索すると、そのキーワードに関するPDF媒体が検索上位に表示されるので、このあたりの日本語文献を読むと概略を把握しやすいです。
英語論文を読めば、英語力と知識量を同時に増やせる一石二鳥になりそうですが、研究室に配属されたばかりに学生には少し負荷が大きいです。
私も、今でも慣れないテーマの論文を読む前には、似たテーマの日本語総説を最初に読みます。
これをすることで、英語力を気にせずある程度の知識を取り入れることが出来るので、英語論文を本格的に読むときの理解度が格段に上がります。
論文を読む時に抑えるべき4つのポイント
ちなみに、論文をじっくり読むときは特に、私は紙に印刷して読むことをおすすめします。
私はスクリーニング的に読むときはPC上でさっと読みますが、じっくり読むときは全て印刷します。
理由は、主に以下の2つです。
- 目が疲れにくい
- 書き込みがしやすい
- 理解速度は紙媒体>電子媒体
特に、わからないことを調べたときにサッと書き込みがしやすいのは、紙媒体の利点かなと思います。
最近ではiPadとApple pencilの組み合わせのように、便利な電子媒体もありますので、そちらを使い慣れている方以外は、紙媒体をオススメします。
それでは、本題の英語論文の読み方について、具体的に説明していきます。
とりあえず、論文を読む時に意識して欲しいのは以下の4つです。
- 調べる
- メモする
- 図解する
- 読み方を変化させる
特に、3と4は教わらないとなかなか出来ないことです。
順番に説明していきます。
調べる
当たり前のことですが、論文は調べながら読みましょう。
先ほど、英語論文を読むには、
論文 = 知識量 × 英語力
の図式が成り立つといいましたね。
日本語総説である程度知識を入れたとしても、「知識量」としてはまだまだ不十分です。
特に、英語力はほんの数日程度で身につくものではありませんね。
ですが、どちらも、足りない分は「調べながら」読んで補完してあげれば問題ありません。
今はGoogle翻訳なんかも精度が上がっていますし、基礎的な知識であればネットで検索すれば何となく情報が出てきます。
まずはとにかく調べる癖を付けましょう。
下記のツイートのように、論文に限らずすぐに調べる癖を付け、それを繰り返すことで知識が定着していきます。
知識が豊富な人は記憶力が良いとかそれ以上に「わからない事をすぐに調べる癖」が付いている気がする。「わからない事に出会う→調べる」の流れは能動的な学びなので、記憶に残りやすい。これを繰り返すと「欲しい情報に辿り付く調べ方」も次第にわかってくるので、知識の獲得スピードも上がっていく
また、上級者向けですが、出来れば英語で調べられるようになると尚いいです。
英語を使えるメリットで大きいのは「得られる情報量の増加」。日本語で調べても得られない情報が英語で調べるとすんなり出てくることも良くある。最近ではGoogle翻訳など便利なツールもありハードルが低くなってきているので、そもそも英語で調べるという発想を持っているかが重要になってる気がする
日本語で出てこない情報があったときに、そこで終わったいたものを、同じように英語で調べるだけでもいいです。
日本語で「○○とは」で調べて居たものを「What is ○○」で調べるだけでも構いません。
日本語で出ない情報も、英語で調べると当たり前のようにすんなり情報が出ることが殆どです。
検索結果も、Google翻訳なんかを使っても良いので、英語で調べる方法を知っておくだけでもかなり違います。
調べながら読む
メモする
調べたことや、ある程度調べてもわからない疑問点などは忘れずにメモしておきましょう。
おすすめは4色ボールペンなどを使って、
事実(英単語や専門用語の意味など)は「黒」
疑問は「赤」
自分の解釈や推測は「青」
筆者の解釈や推測は「緑」
といった感じでルールを決めておくと後で見返した時にわかりやすいと思います。
視覚的に判断できるので、ぱっと見でわかるのが利点ですね。
例えば、一度読み終わった後に、「赤」で書き込みがある部分を重点的に読み返せば
効率的に復習することができるので、オススメです。
図解で「答え合わせ」をする
もう一つ論文を読むときの大切なポイントは、漠然と読まずに
「図解しながら読む」ということです。
何を図解するかというと、例えば、AがBを増やす、といった話であればA→Bといった感じで話の流れを図解します。
AがCを介してBを増やすのであれば、→の上にCを書いて上げればすぐに理解できますよね。
こうして絵を描いておくメリットは、仮にその経路図と違う説明が出てきたときに、自分が理解違いをしていたことに気がつくことが出来る点にあります。
つまり、自分の「図解した経路」と「論文の中身」を照らし合わせて「答え合わせ」をしながら読むことで、読み違いを防ぐ役割があります。
同時に、視覚的に判断できるので、何度もテキストを見返す必要もなく、理解速度を上げる効果も期待できます。
私は、ラボの文献紹介で聞くときに常にこの方法をとっていて、
聞きながら手元に図解を作って、それと頻繁に「答え合わせ」することで自分の理解を高めていきます。
また、この「図解」はある程度の「予測」に基づいて作るものなので、
もし間違えていることに気がつけば、
「理由」を考えたり、調べたりしますね。
これがとても大切です。
「え、なんで?」と言う感情と、その後に調べて「理解した記憶」がエピソードとして結びつくので記憶に残りやすいからです。
これをゼミなどに応用すると、「○○だと思ったのですが、〜なのはどうしてですか?」と立てていた仮説とセットにして、なぜその仮説と違うのかを説明してもらう質問をすることが出来ます。
図解で「答え合わせ」しながら読む
ちなみに、自分の場合、メモや図解は全て「印刷した論文の余白」に書き込んでいます。
メモ用紙などを別に用意するのは面倒ですし、管理も煩雑になりますからね。
項目によって読み方を変える
論文にはいくつかの項目があり、それらは項目ごとに意味合いが大きく異なるので、下記のようにそれぞれに合った読み方があります。
一般的に、原著論文は
- Title
- Abstract
- Introduction
- Methods
- Results
- Discussion
- Table
- Figure
- Reference
といった項目で構成されています。
まずは、それぞれの特徴を簡単にまとめます。
Title (タイトル)
基本的には、AがBを介してCを起こす、といった感じで
- その論文で「1番言いたい事」
を簡潔に示した文がタイトルに来ます。
体言止めで「○○に関する□□」といった感じで、要約的なタイトルの場合もあります。
タイトルからどんな論文かある程度推測は出来ますが、あくまで「分かった気になる」くらいなものです。
Abstract (アブストラクト)
- 論文全体の中身を短く要約したもの
論文全体がぎゅっと短く凝縮されているため、短時間で概要を掴むには便利です。
ただし、タイトルと同様に概要を掴んで「分かった気になる」には十分ですが、重要な条件などを見落としてしまったり、論文全体を完全に理解するには不十分です。
こちらも、あくまで「何となくわかった」状態を作るために読む項目です。
Introduction (イントロ)
- なぜ、その研究が重要なのか
- 今までに何が分かっていて、何が分かっていないのか?
といった、その論文を理解する上で不可欠な背景知識が書かれています。
まずはイントロに目を通すことで、その論文がなぜその研究をするのか?といった動機を理解することが出来ます。
ですので、特に慣れない分野の論文を読む場合、イントロダクション(イントロ)が貴重な情報源です。
ちなみに、専門分野になってくると、イントロは同じようなパターンになっていることに気がつくので、イントロは一気に読み流すだけでも理解できるようになります。
Methods (方法)
名前の通り、その研究を行った
- 方法
- 実験条件
が別の研究グループが同じ結果を再現できるように書かれています。
特に論文を読み慣れていない時は、無機質に書かれているこの項目が一番苦しいでしょう。
他の項目と違って、特に初学者の方は、方法の部分を全体をじっくり最初から最後まで読む必要はありません。
理由は挫折しやすいからです。
私も最初から最後まで方法をじっくり読むことはあまりありません。
グラフや結果、Disucussion を見ていてこれはどうやってやっているんだろう、と思ったら方法を見返して、どういう条件でやっているかを見ればいいです。
つまり、方法は辞書を引くように読めばいいと思います。
どこを読むかについてはある程度数をこなせば、だんだん慣れてきます。
動物実験であれば、全てはとても挙げきれませんが
- 与えている飼料
- 使用した実験動物(ラット?マウス?それともハムスター?雄?雌?週齢は?)
- 使用した薬物や成分の濃度、状態、投与方法
- 生理的にあり得る条件か?
確認しておきたいところです。
Figures (図)
Figuresは得られたデータが図(視覚的)に理解できる項目です。
ぱっと見で理解するにはとても便利な項目です。
Figures の下部にはその Figure legend (図表の説明文) があります。
ここを合わせて読めばデータの意味を理解できる事が多いです。
ですが、ここで早とちりしてしまうと、勘違いしてしまう場合もあります。
次のResults の項目とセットで読みましょう。
Results (結果)
Figures が視覚的理解出来るのに対して、Resultsは文章(テキスト)で理解できる項目です。
つまり、Figures で把握した内容の確認で使うと、大きく効果を発揮します。
ここだけを上から下まで順番に読むのはあまりオススメしません。
あくまで、Figures & Results はセットで読みましょう。
Discussion (考察)
Discussion は唯一結果の「解釈」が書かれた項目です。
Discussion は唯一結果の「解釈」が書かれた項目です。
ここでは、自分の解釈の「答え合わせ」をする気持ちで読むと良いでしょう。
筆者の考察が読める「一番楽しい」項目でもあります。
Reference (引用文献)
この論文で引用された文献リストが載っています。
基本的に手はつける必要はないところですが、
文中で言及されている内容で「え、何それ知らない」となったときにチェックしておいて、次に読む論文の候補にしたりします。
全体をまとめると
- Abstractで全体像を掴む (分かった気になる)
- Introductionで背景と目的を整理する
- Figures(視覚的理解)とResults(テキスト理解)はセットで交互に見つつ、Methods は辞書的に読むことで内容を理解していく
- Discussionで自分の結果の解釈の答え合わせを行う気持ちで読む
といったように項目ごとに読み方を変えると良いでしょう。
特に、一番無機質なMethods を辞書的に読む方法が重要だと思います。
気になったところは行ったり来たりしつつ読み進めていくことで、結果的には全体を網羅できると思います。
論文を読み進める時の注意点
論文は信頼できる先輩や先生に貰おう
基礎的な知識がないと自分で調べても、自分の研究テーマに適した論文を適して論文を見つけることは難しいです。
最初は信頼できる先輩や先生にお願いして論文をいくつか貰いましょう。
論文の内容を鵜呑みにするのは辞めよう
論文の表面上だけを見ると、絶対的にA→Bという関係が成り立つように見えても、背後に隠れている条件が異なれば、違う結果になることもあります。
例えば、動物実験であれば使っている動物種や飼料組成の違い、臨床実験であれば被験者の人数が小規模すぎたり、被験者の状態が健康なのか、疾患持ちなのか、などで結果は変わってきます。
そういった、背後に隠れている条件がある可能性を常に持って、論文を「疑う」気持ちを持って読むことが大切です。
研究が1つの論文で完結することはまずありません。
あくまで大量の論文を読むことで「体系的に」理解することが大切だということは頭の片隅に置いておきましょう。
完璧を目指すのは辞めよう
調べながら読む、といっても全ての疑問をいちいち調べていては一向に論文は読み終わりません。
あくまでまずは「論文を読み終える」を最優先に考えましょう。
英単語の意味や一部の専門用語など、そこで意味がわからないと文章の意味を理解できない場合を除いて、ここで無理に全てを調べる必要はありません。
ですが、上で紹介してきたように「メモ」だけは忘れずにしておきましょう。
読み終えたはいいけど、「どこが疑問点だったかをわからない」となっては元も子もないので、気をつけてください。
全体を読み終えてから、また戻って足りない部分を調べればそれで良いと思います。
読みっぱなしは辞めよう
読み終えた文献は読みっぱなしにせずに記録しておきましょう。
私は Google document を使って読み終えた文献の情報を記録しています。
理由は主に2つです。
- 紙と違って場所を取らない
- Ctr (Command) + F でキーワード検索をかけることが出来る
Evernote でも同じようなことが出来ますが、私の場合は文献ソフトとしてGoogle document と相性が良い Paperpile を使っているので、Google doc を使っています。
Paperpile の詳細は下記記事で紹介しています。
下記は、私の文献メモの一部です。
フルクトース吸収不良のヒトはNAFLD発症リスクが低い (Walker et al., 2012)。フルクトース摂取量が低い人はNAFLD発症リスクが低い (O’Sullivan et al., 2014)。つまり、フルクトース吸収を低下させればNAFLDリスクを下げられる可能性がある。
その論文の「主要な結果」と「文献情報」が載っていれば最低限は良いと思います。
主要な結果はアブストラクトに載っている内容でもいいですし、自分が後に必要だと思った情報でも構いません。
あまり細かくルールを作るとそもそも続かない原因にもなるので私はざっくりやってます。
上記の文献情報はPaperpile で挿入しているのでリンクから直接論文PDFにアクセス出来るようになっています。
マニュアルで文献情報を記録する場合、以下の方法がオススメです。
まず、Google scholar で目的の論文を検索したら、タイトルの下部の「”」マークをクリックします。
すると、以下のような文献情報がいくつかのスタイルで提示されるので、どれでもいいのでコピペしておくと、あとで文献を辿りやすくなるでしょう。
また、最後の一文のような「応用例」など、自分の考えを加えられると尚良いと思いますが、慣れないうちは内容の簡単な記録で良いと思います。
もっと言えば、細かい条件や方法も載せておくべきだと思いますが、そこまでやると記録すること自体が億劫になってしまうので、私はこのくらいにしています。
あくまで情報を整理するというよりは、「あの論文はどこだ?」とならないように自分の頭の代わりに電子データに覚えさせる、といった気持ちでやっています。
よほど記憶力の良い方で無い限り、一度論文を読んだだけで全てを覚えているのは不可能です。
基本的に何度も読み返す必要があるので、読み返すための「記憶のとっかかり」くらいの気持ちで記録しておきましょう。
実際に、このように文献を記録しておくと、卒業論文や英語論文を書く時にもの凄く楽を出来ます。
ゼロから文献探しをするのはかなり大変ですが、こうした読んだ文献を記録しておくことでかなり楽を出来るはずです。
似たテーマの論文を連続で読もう
1つの論文を読み終えたら、できるだけ似たテーマの論文を立て続けに読むことをオススメします。
理由は、同じようなテーマの論文を重ねることで知識の定着を図るためです。
何本か読むうちに、Introductionで同じようなことが述べられていたり、Methodsも同じパターンで記述されていることに気がつくはずです。
ここまで来れば、そのテーマに関してはある程度基礎知識が付いてきた証拠にもなります。
このレベルに達する前に別テーマの論文を読んでも苦しい時間が多いので、まずは似たテーマで慣れてきたら別のテーマに挑戦することをオススメします。
数ヶ月に一度は論文をまとめて読む時間を作ろう
ここまで論文の読み方を説明してきました。
時には、実験を焦る気持ちをぐっと堪えて論文だけひたすら読む時間を作ることを強く勧めます。
研究室に入ってデータがまとまり始めた時こそ一旦落ち着きましょう。実験を進めたい気持ちをぐっと堪えて、集まったデータを支持する論文、相反する論文を1週間くらい時間を作って集中的に調べる時間を作ります。こうしておくと無駄な実験を省けたり、予想外のデータが出たときの対処が速くなります
「論文ばかり読んでないで実験しろ」と仰る先生も居られると思うので、その場合は怒られない程度にバランス良くやってください。
また「なぜ論文を読むことが重要なのか」については以下の記事でまとめています。
気になった方はぜひご覧になってください。
また、後輩に「論文の読み方」を含めた指導に携わる方は、ぜひ以下の記事も参考にしてください。
更に、実験データが出た際も、いきなり先生のところに行くのではなく、自分で論文を調べてから相談に行くと有益な議論になると思います。
コメント
先輩が少ないラボで、論文をどう読み進めればいいのか悩んでいたのですごく参考になりました!
一つ質問ですが、みのんさんは電車とかの隙間時間に論文は読みますか?
こなっくさん、コメントありがとうございます。もちろん論文を読むこともありますね。ただ最近は論文を読むときはまとまった時間を用意することが多く、隙間時間は本を読んだり、思いついたアイデアを整理することが多いかもしれません。疲れたなと思った時は普通にツイッターをダラダラ見たり、Youtubeを見たり、意識的にリラックスことも多いですよ笑
学部4年生です。
論文の読み方が自己流で、今まで雑然と読んでいたので、とても参考になりました。ありがとうございます。
一つ質問がございます。
論文を読むときの、メモを取る、図解するという記述がございました。
これらについて、
印刷した紙の論文への書き込みという意味ではなく、自分で用意した別のメモ用紙のようなものに書き込み、それらのメモ用紙も何らかの方法で管理するという理解をしたのですが、
この理解で合っていますでしょうか…?
aki さん、コメントありがとうございます。少しでも参考になったようで嬉しいです。質問の件ですが、メモや図解は全て「印刷した論文の余白」に書き込むつもりで書いていました。管理するものが増えると大変なので、論文そのもの以外にはメモ用紙などは基本的には使っていません。少しわかりにくかったですね。
『5分で調べて〜』のツイートを見て飛んできた、修士一年の者です。
自分の研究で好ましい結果が出ず、凹んでいる時にお見かけしました。
完全に自信を失っていたのですが、このブログを拝見したことで、自分の良くないところ、意外と良かったところが見えてきました。明日からまた頑張ります。
nanaco さん、大変嬉しいお言葉ありがとうございます。自分の経験がこうして少しでも誰かのお役に立てるのは有り難いことです。あまり無理はしすぎず、頑張ってください。これからもどうぞよろしくお願いいたします。
今年からM1の者です。
これまでやり方を決めず雑に論文を読んでしまっていたのでとても参考になりました!
Google documentでメモを残すときは1枚のシートで1文野の論文についてなどと分けて残していますか?それともあくまでメモ用として読んだものの結果などを文野関係無く箇条書きで残していますでしょうか?
ありがとうございます。カテゴリ分けを始めるとそれ自体が面倒で続かない原因になりかねないので、僕は分野は関係なく一つのファイルに纏めています。
Ctr+F (MacはCmd+F)で文章内検索が出来るので、後で見返すことを考えると検索を掛けるときに見つけやすいようなメモを残すことを意識されると良いかと思います(略語はきっちりスペルアウトするなど)。