ジャーナルクラブを最大限活用するための心得と方法 [論文選びから準備・質問の仕方まで]

研究

こんにちは、みのん(@min0nmin0n)です!

この記事では、大学の多くの研究室でジャーナルクラブ (*)をどのように有効活用するか、について書いています。

* 雑紙会、論文紹介、文献ゼミ、研究紹介など呼び方は様々です。

この記事の内容: ジャーナルクラブでの文献の選び方からプレゼンの準備、質疑応答についてまで具体的な活用方法

この記事が役に立つ人: 研究を始めたばかりのB3、B4の学部生

紹介しているのは基本的なことですが、院生の方でも意外と出来ていないこともあるので、拾い読みでも良いので読んでみてくださいね!

* 当記事の内容はあくまで私個人の意見です。絶対にこうするべきというものではありません。

ジャーナルクラブとは?

定期的に研究室のメンバーが集まって自分の研究進捗をプレゼンしたり、自分の研究に関係する論文を紹介するような会ですね。

このあたりは分野によって違うかもしれませんが今回の記事の”ゼミ”はジャーナルクラブのことだと思ってください。

ほとんどの場合、こうしたゼミは卒業単位を満たすためにも参加が必須のものです。

「とりあえず参加してなんとなく準備してなんとなくやり過ごす」

という人も多いのではないでしょうか。

これは非常にもったいないです。

いまのラボ、週1で文献紹介があるから休み期間を考慮しても年間で約40本。3年に配属だから学部から修士卒業の4年間で160本近くの文献を読むことになる。自分で読むのと紹介されるプレゼンを見るのは大きく違うけど毎回質問するつもりで考えながら聞いている人とそう出ない人では大きく差が付きそう

このように例えば私のラボでは修士で卒業するまでに約160本もの論文に強制的に触れる機会があります。

こうした「強制的」なイベントはけっこう大事で、どうせその時間は使わなければいけないのだからできる限り有効活用したいところですよね。

プレゼンの機会を得られるのが重要

自分が発表する機会もありますよね。

私のラボの場合は一人当たり年に3回のジャーナルクラブ、2回の進捗報告があります。

たぶん少ない方だと思います。

ですが、他にプレゼンをする機会があるかと言われるとそんなにないですよね。

講義で年に1、2回あれば多いほうでしょう。

自分で何も機会を作ろうとしてくても、絶対にプレゼンをする機会を与えられるゼミはとても貴重なわけです。

ゼミ発表が緊張する訓練になる

大学で研究をやる人の目的は様々です。

本当に研究が大好きで研究室に入る人や、就職が最終目的の人もいるでしょう。

研究が大好きで将来研究職に就きたい人であればプレゼンが重要なのは言うまでもないでしょう。

就職目的の人にとっては面接の練習だと思ってやると良いと思います。

“人前で論理的にわかりやすく説明する”という点では就活における面接もゼミ発表もそれほど変わりません。

何より、”緊張する訓練” ができるのが重要です。

前置きが長くなりましたが、これらのことを踏まえて、

この記事では大学で4年間近くゼミに試行錯誤しながら取り組んできた経験に基づいたノウハウを共有したいと思います。

ゼミの機会を利用してレベルアップしましょう!

発表する論文を選ぶ

論文選びはもの凄く大切です。

最初にやるべきことはまず論文を見つけることですよね。

発表がどんなに得意でも、発表に使う素材が悪ければ上手くプレゼンをするのはけっこう難しいんですよ。

文献選びの基準としては、

  • 自分が読んでいて興味が持てる内容
  • (おそらく)聞いている側も楽しんでもらえる内容

この2つを満たす文献であると最高ですね。

ある程度のデータ量を持って信頼性の高い文献であることももちろん重要なのですが、少しでも専門でない人からすると聞いていてしんどい論文もあるんですよね。

もちろん自分の研究に役立つから絶対これを発表したい!という論文があるのもわかります。

でも、そういう論文はわざわざゼミで発表しなくても普通に自分一人で読めばそれで良いと思うんですよね。

せっかく強制的にやらざるを得ないイベントでもあるので、普段一人では読まないような文献を選ぶことで知識の幅を広げたいところ。

こういった理由から、今回は上記の2つにポイントにフォーカスして論文を選びます。

これがけっこう難しいのですが、

  • タイムリーな内容である
  • 日常的に触れる現象を科学的に解明したもの
  • それでいて自分の専門分野からかけ離れていない

このあたりを満たしていれば最初の2つの条件をクリアできるんではないでしょうか。

例えば、「水素水」が話題になった時期がありましたよね。

「水素が体に良いから水素を溶かした水を飲めば健康になる」といった趣旨のものでしたが、

通常のペットボトルや缶に入れただけでは簡単に水素が漏れていくために全くの無意味である、ということで世間を騒がせていましたね。

ところが、私の知人がその水素水の話題に乗っかった文献を紹介していました。

その内容はというと、

「水素」自体は確かに抗酸化能力が高いので健康に寄与し得るというのは本当で、使用方法さえ適切であれば効果的な物質になり得るという研究でした。

話題の「水素水」の馬鹿らしさを揶揄しつつ、正しい知識を科学的に示した親しみやすい論文ですよね。

文献紹介で使う論文としては個人的には最高の部類かなと思いました。

他にも、私は「マラソンマウス」という遺伝子操作により運動訓練をせずとも通常よりも持久能力が非常に優れたマウスが、なぜそうした高い持久力を維持できるのか?

ということを科学的に明らかにした文献を使ったことがあります。

これは日常的に身近に感じられる「運動」というものに焦点を当てた研究ですよね。

この文献紹介は私も読んでいてとても面白かった上に、基本的な知識を抑えた内容で非常に評判が良かったです。

ただ、これらの論文のようなキャッチーな内容のものを見つけるのは、「その時期にそういった論文がそもそも出ているか」といった運要素も絡んでくるので少し難易度は高めです。

論文探しは複数の方法を組み合わせる

それでは実際に文献を探すときのコツを具体的に紹介しますね。

結論から言うと、アラート機能や科学ニュースなどの複数の方法を使って普段からアンテナを貼っておく方法が一番簡単です。

Googleアラートを活用する

多くの方は文献紹介がある1ヶ月前くらいになってからPubmedやWeb of scienceを使ってキーワード検索で探す方が多いんじゃないでしょうか?

Google sholar のアラート機能を使い始めれば直前にそういったキーワード検索をする手間を省くことができます。

Google アラートは探しているキーワードを予め指定しておき、それにマッチする最新の論文がGoogle scholar上に載ると登録したメールアドレスに通知を送ってくれるサービスです。

設定自体は下の記事で紹介しています。

とても簡単なのでこの機会に設定してみてください。

科学ニュースを活用する

最新の研究がニュースとして表示される科学ニュースを使うのも一つの手です。

ゼミに使える文献が頻繁に載っているわけではないですが、こまめにチェックしておきましょう。

以下に私がチェックしているサイトを記載しておきます。

日本の研究.com

記事 検索結果 | 日本の研究.com
記事の検索結果

最新の研究を一般的にもわかりやすく紹介してくれるプレリリースと呼ばれる形で記載されています。

日本語でまずは概要をつかめるのでオススメです。

WIRED

WIRED.jp
『WIRED』はテクノロジーによって、生活や社会、カルチャーまでを包括したわたしたち自身の「未来がどうなるのか」についてのメディアです。最新のテクノロジーニュースから、気になる人物インタヴューや先端科学の最前線など「未来のトレンド」を毎日発信。イヴェント情報も随時アップデートしてお届けしています。

こちらも日本語です。

研究特化というわけではありませんがたまに面白い最新研究が紹介されています。

数回ここから論文を引っ張ってきたことがあります。

JAMA

Home of JAMA and the Specialty Journals of the American Medical Association
Stay up to date, maintain your CME with the latest research, author interviews, apps, and learning courses from JAMA and the Specialty Journals.

こちらは英語ですね。

アメリカの医学雑誌です。

臨床系が多く、英語なので少しとっつきにくいかもしれませんがたまに面白い研究が載っています。

ジャーナルから探す

特定のジャーナルのサイトにいって探すのも効果的な方法です。

これまで紹介した方法で良い論文が出てこなかった場合はこの方法で探しています。

代表的なジャーナルは、CNSという略称でまとめられるCell、Nature、Scienceあたりでしょうか。

M1以上の学生さんは出来ればCNSに掲載されている論文を紹介出来るようになるといいですね。

ただNatureに関してはトリッキーな内容が多く、限られた時間の中で説明するには向いていない論文が多い印象なので、避けてもいいかなと思っています。

個人的に良く使うのは基本的なことを抑えつつレベルが非常に高いCell系です

他にも、ライフサイエンス系の方は下記に私がメジャーだと思っているジャーナルをリストアップしておいたので参考にしてみてください。

<CellNatureScience(CNS)関連>

・Cell

・Cell Metabolism

・Molecular Cell

・Cancer Cell

・Cell Reports

・Nature

・Nature Medicine

・Nature Cell Biology

・Nature Genetics

・Nature Communications

・Science

<生物学全般>

・Proceedings of the National Academy of Sciences (PNAS)

・Current Biology

・FASEB Journal

<消化器系>

・Hepatology

・Journal of Hepatology

・Gastroenterology

<医学系・医学系専門誌>

(医学系全般)

・Journal of Clinical Investigation (JCI)

(糖尿病・肥満)

・Diabetes

・Obesity

・International Journal of Obesity

(腎臓)

・Journal of the American Society of Nephrology (JASN)

・Kidney International

(ガン)

・Cancer Research

・Oncogene

(血管)

・Circulation Research

・Arteriosclerosis, Thrombosis, and Vascular Biology (ATVB)

・Hypertension

(毒)

・Toxicology

・Toxicology Letters

<生化学・分子生物学系>

・EMBO Journal

・EMBO Reports

・Molecular and Cellular Biology (MCB)

・Molecular Biology of the Cell (MBC)

・Journal of Biological Chemistry (JBC)

・Biochimica et Biophysica Acta (BBA)-Molecular Cell Research

・Biochimica et Biophysica Acta (BBA)-Molecular Basis of Disease

・FEBS Journal

・FEBS Letters

・Biochemical and Biophysical Research Communications (BBRC)

<内分泌>

・Molecular Endocrinology

・Endocrinology

<生理学>

・American Journal of Physiology (AJP)-Gastrointestinal and Liver Physiology

・American Journal of Physiology (AJP)-Endocrinology and Metabolism

・American Journal of Physiology (AJP)-Renal Physiology

・American Journal of Physiology (AJP)-Cell Physiology

<栄養・食品>

・Molecular Nutrition & Food Research

・Journal of Nutrition

・British Journal of Nutrition

・Journal of Agricultural and Food Chemistry

論文を選んだら先輩や先生に見てもらう

自分で2、3本に絞れた場合は信頼できる先輩や先生に聞くのが一番手っ取り早いです。

初めはなかなか勝手がわからないので、「どれも微妙」と言われてしまうかもしれませんが、そのときはその先輩や先生に選んでもらいましょう。

結局、「良い論文とは何か?」を知るためには良い論文をたくさん読むことが一番です。

論文を読む機会がなかった学部生は、経験者である先輩たちに聞くのが手っ取り早い方法になります。

論文を探す作業自体も訓練のうちですが、行き詰まった場合は先輩達に頼りましょう。

論文を読む流れ

論文が決まったら早速読んでみましょう。

読むときの具体的なコツを説明しますね。

まずは英単語を調べなから一通り読む

学部生は特に専門に関する語彙に触れる機会が少ないはずなので調べながらで良いので読んでみましょう。

ライフサイエンス系の方はこちらのライフサイエンス辞書がオススメです。

ライフサイエンス辞書
生命科学分野で使われる用語を収集し「ライフサイエンス辞書」として提供しています。英和・和英辞書、英語+日本語シソーラス、コーパス検索(共起表現検索)、ネイティブ話者による発音、オンデマンド英語教材、英日逐語訳ツールなど。

Google翻訳を使って概要を把握するのもありです。

ポイントは、細かい内容でわからない部分があってもそこに時間を掛けすぎないことです。

勉強するときも何周も繰り返した方が記憶に定着しやすいように、論文も繰り返し読むことが大切になります。

関連画像

最初から完璧を目指さずにまずは1周目を終わらせることを優先しましょう。

具体的な読み方ですが、背景知識がほとんど無いと仮定すると

Title→Abstract→Introduction→Methodを適宜参照しながらFigureとResultをいったりきたり→Discussion

という順番が良いのではないでしょうか。

1回目の読み方の具体的な流れは下記のような感じです。

  1. Title: 筆者が一番言いたいことが何かを把握する。
  2. Abstract: 全体を凝縮した要約。ここで全体像を掴む。
  3. Introduction: 始めて論文を読む学部生にとって宝(背景知識)の山。ここで背景の情報をできるだけ取り入れる。同じ分野の論文を読み慣れてくるとだいたい同じことが書いてあることに気づくので、軽く読み飛ばすこともできるようになります。
  4. Figure、Result、Method: Figure メインで内容を見てみる。最初はFigureだけで理解するのは難しいため、Result を並行してテキストを見ながら筆者が見せたい結果と自分のFigureの理解を一致させる。Methodも参照して「どのような条件でやっているのか?」を適宜確認すると尚よい。
  5. Discussion: 一番重要。まずは一通り読んでみる。どのFigureからそのような考察を導けるのかを確認しながら読む。

穴だらけで良いので、とにかくまず “1周目” を終わらせることを目標にしましょう!

Abstract は宝の山

特にAbstractは下記のように短い文章の中にたくさんの情報が詰まっています。

下の画像はNature日本法人さんがNature公式のAbstractの書き方を翻訳したものです。

最初に概要を把握しておきましょう。

「nature 要旨 書き方」の画像検索結果
https://www.natureasia.com/pdf/ja-jp/nature/authors/gta-2017.pdf

疑問点は読みながらメモしておく

読んでみると疑問点がたくさん出てきます。

ですが、最初から全て事あるごとにに調べていては泥沼にはまる恐れがあります。

意味がわからないと理解が進まない専門用語などを除いて、メモする程度に留めておく方がいいでしょう。

一度読んだら本格的に疑問点を調べる

2回目を読むときは1回目で感じ取った疑問点を少しずつ調べながら理解度を深めていきます。

ある程度調べてそれでもわからない部分はここでもメモしておくに留めて、まずは二回目を通読します。

英語で調べると得られる情報の幅が拡がる

調べる時のコツですが、単純に日本語ではなく英語も使えるようになると情報収集がはかどります。

英語を使えるメリットで大きいのは「得られる情報量の増加」。日本語で調べても得られない情報が英語で調べるとすんなり出てくることも良くある。最近ではGoogle翻訳など便利なツールもありハードルが低くなってきているので、そもそも英語で調べるという発想を持っているかが重要になってる気がする

出来れば、英語の原著論文で調べられるようになると情報収集能力が格段に上がります。

最初はGoogle翻訳に頼りながらでもいいので徐々に慣れておくと後々役にに立ちますよ。

自分で調べてわからない部分は先輩や先生に聞く

特に学部生の方は一人で抱え込んで泥沼にはまらないように注意してください。

いくら調べても出なかった情報が先輩に聞いたらすぐわかった、なんてことはよくあります。

「自分である程度調べてわからない部分はメモするに留める」と何度も書いているのはそういうことです。

何も調べていない状態で行くのは流石に失礼かもしれませんが、

「○○について△△で調べたんですが、□□がわかりません。教えて頂けますか?」

といった感じで、きちんと

①調べている内容、②自分がそこまでにやったこと、③どこがわからないか、をはっきりさせた上で聞きに行けば教える側もやりやすいですよ。

minon
minon

気軽に聞ける先輩や先生がいる場合は積極的に頼っていきましょう

何度も読む

一回一回に時間を掛けて読むのはしんどいです。

それよりも、一回一回の時間は短くても良いので、インクを塗り重ねるように何度も繰り返し読むことで理解度が高まっていきます。

わからなかった部分も一度寝かしておくと、数日後になぜか急に理解できることもあります。

引用されている先行研究には必ず目を通す

ここも疎かになりがちなポイントです。

特に最初の頃は本文を理解するので精一杯になりがちです。

ですが、プレゼンを聞く側からするとそんな事情は知りません。

例えば、ある物質を100 µMで細胞に暴露していたとします。

なぜこの濃度なのか?気になる人は気になります。

こうした細かい条件設定やその論文の研究を行うに当たっての背景はきちんと先行研究に目を通せば書いてあります。

実際に先行研究に目を通してみると濃度を振って一番効果がある濃度だった、とか細胞傷害性がない濃度である、とか書いてあることが多いです。

そこまでわかっていればきちんと根拠を持って答えられますよね。

全ての引用文献に目を通すのはする必要はないですが、本文を読んでいて気になる文献があった場合には印を付けておいて後で必ず目を通しましょう。

情報抽出に便利な文字検索ショートカットキー

引用文献を全文読むのは流石に時間が掛かりすぎるので以下のショートカットキーを使って必要な情報を拾い読みするとかなり時短できます。

慣れてくると1時間で10報以上の論文から情報をスクリーニングできますよ。

発表練習を必ず行う

たかがゼミで・・・と思うかもしれませんが発表練習は必ずしましょう。

こういう機会を逃さずに発表練習を毎回しておくとプレゼンは見違えるように上手くなります。

この記事でも研究発表におけるプレゼン練習の方法やその重要性を書きましたが、普段のゼミから練習しておくことで重要な場面(学会や就活の研究発表など)に自信を持って臨めるようになるはずです。

原稿は作らなくても良い

これは賛否両論あると思うのであくまで私の意見として見てください

私が原稿を作らない方が良いと思う理由はいくつかあります。

1. 原稿を作っても実際に練習してみると変えたいところがたくさん出てきて、修正にもの凄く時間が掛かる

話す言葉をテキストで打ち込んでいくわけですから、原稿を作るのはもの凄く時間が掛かります。

論文ゼミでは既に内容が確定しているのであまりないと思いますが、自分の研究発表なんかでは大幅な構成変更も良くありますよね。

こういった時にまた原稿を書き換えるのも大きな負担になります。

2. 原稿を作るとそのまま音読するようなプレゼンになってしまう
3. 話言葉でなく書き言葉になりがち

これらの理由から、原稿を読んで発表している人の発表はすぐにわかってしまうんですよね。

プロのアナウンサーならまだしも、普通の人が原稿を見ながら話していては抑揚を付けるのも難しいので明らかにわかるものです。

かといって完全に暗記するのも、本番でど忘れしたときにめちゃくちゃ焦ります。

そもそも文献をきちんと読み込んで内容を理解出来ていれば Figure やスライドを見れば何を話せばいいかは何度も練習していればスラスラ出てくるようになります。

実際に、原稿なしで発表したことがない後輩に原稿なしで準備してもらって、練習を繰り返してもらったところ、原稿なしで発表出来るようになっていたのである程度再現性があると思います。

原稿なしなんて絶対に出来ない!という人は、完全に話す内容を丸々テキストに残すのではなく、「話す内容」をメモする程度で留めるようにしてみてください。

発表練習をそのメモを使ってするわけです。

文章をそのまま書いているわけではないので、必然的に「自分の言葉」で話すことになります

最初は難しいと思いますが続けることで自然な発表に近づいていきます。

発表練習が質問対策にもなる

自分で声に出しながら発表練習をしていると必ずうまく説明できない部分が出てきます。

そういった部分を洗い出しながら、その部分を補強できるように情報を調べておきます。

つまり発表練習が質問対策にもなるわけです。

声に出してみると違和感を感じる部分があることに気がつくはずです

リストアップした質問されそうな点を調べておく

プレゼンの質疑応答が得意な方は「頭の回転が速いからだ」と勘違いされがちですが、実は「考え得る質問を想定して、入念に準備」しているだけなんですよ。これらの準備をしておくと想定外の質問が来ても大抵は組み合わせで対応することができます。大切なのは頭の回転ではなく「予測と準備」です。

プレゼンの質疑応答は「予測と準備」でほぼ決まります。

その場で来た質問を1から考え始めて答えていてはスマートな回答をするのは難しいです。

先ほどの発表練習で気づいた点も含め、予め来そうな質問とそれに対する答えを考えておきましょう。

このとき、単純に自分の考えを述べて終わり、ではなく、自分の推測を補強できるような文献 (英語の原著論文)の情報があると尚良いです。

修士の学生さんはここまで出来ると良いですね。

ただまだ研究が始まったばかりでの学部生さんは

「そもそもどんな質問が来るか全く予想もつかない・・・」

という方も多いと思います。

そういう場合は文献選びの時と同様に先輩や先生に見てもらって気になる点を挙げてもらうといいと思います。

質疑応答で焦る必要はない

私は自分が発表するとき、基本的に質疑応答はほとんど緊張しません。

先ほど述べたようにかなり入念に準備しているから、というのもありますが、

自分よりも質問者のほうが緊張している」という意識があるからです。

自分が質問する側の時を想像してみてください。

緊張しますよね?

おそらく、大抵の人は質問するときは多少なりとも緊張します。

少なくとも私は長年同じ研究室に所属していて慣れてきたとはいえ、緊張します。

これを覚えておくと質疑応答であまり焦らなくなると思いますよ。

発表者が緊張しているとき、質問者も緊張しているのです・・・

発表が終わったら周囲からフィードバックをもらう

これは特に学部生のうちがやりやすいと思います。

発表が終わったら修士の先輩や博士学生、何なら先生のところにいってフィードバックをもらうと良いと思います。

どんなに完璧な発表をしたと思っても他人から見ると粗が目立つものです。

そこで得られたフィードバックを毎回取り入れて改善していけば回数を重なるごとに間違いなくプレゼンが上手くなります。

周囲の評価を聞くのって意外と恥ずかしいもので、あまりやりたがる人はいないのですが、プライドは捨てていきましょう。

私の後輩で最初はあまりプレゼンが得意ではなかったものの、毎回毎回先輩たちにフィードバックをもらいに来ていた方がいました。

その学生も卒業する頃には、昔はプレゼンが得意でなかったことを後輩たちに全く感じさせないほど見違えるほどプレゼンが上手くなりました。

周囲の意見を取り入れるのは本当に効果的なのでオススメですよ。

注意事項としては、ただ自信を失うだけで終わる場合もあるので、言い方がきつい人のところにはあまり行かない方がいいかもしれません・・・(小声)。

自分がオーディエンスの場合は必ず質問する

ここでほぼ必ずあるのが最後の質疑応答の時間ですね。

ゼミでは毎回質問する。質問する前提で聞いていれば真剣度も理解度も上がりやすい。何より大勢の前で質問することで貴重な「緊張する訓練」が出来る点が大きい。正直私は今でも質問する時は緊張するが、継続していると慣れてくると同時に質問の質も上がってくる。最初から上手い質問をする必要はない

ゼミで質問するメリットはたくさんある

例えば、以下のようなメリットがあります。

  • 質問するつもりでいると真剣度、理解度が上がりやすい
  • 緊張する訓練ができる
  • 周りからの評価が上がる

1つずつ具体的に説明していきますね。

真剣度、理解度が上がりやすい

質問するつもりで聞いていると、しっかり中身を見る必要があるので当然、真剣さの度合いが違います。

それに比例して「早く終わらないかな」と何も考えずに聞いている場合に比べると理解力が上がるのも当然ですよね。

どうせ1時間や2時間その場に居ざるを得ないのですから、その時間は可能な限り有効活用すべきです。

緊張する訓練ができる

この考え方をしている人は案外少ないかもしれません。

大勢の人の前で話すのは緊張します。

こうした機会は案外貴重です。

ゼミという顔の知れたメンバーの中でさえ質問するのは多少なりとも緊張します。

学会に参加すればもっと大勢の前で発表する機会がありますが、頻繁に参加できるものでもありません。

研究室に所属していると「強制的に」参加せざるを得ないこの「ゼミ」の機会は絶好の機会なわけです。

とにかく毎回質問してみてください。

繰り返していると次第に慣れてきます。

加えて、毎回「ああ、あれはこう言うべきだったな」とか、

「もっとゆっくり話すべきだったな」

とか反省点が生まれるはずです。

こういうことをずっと繰り返していると、いずれ参加するであろう学会で生きてきます。

もう一つ見逃せないメリットが誰もが通る道であろう就活です。

私自身、M1の頃は就活をしてインターンなどにも参加したり、研究室で5年以上過ごしていて同期や卒業生を見ていて感じるのは

「ゼミでの発表や質問の様子と就活の順調さが比例する」

ということです。

あくまで私の経験則ですがかなり当たります。

特に質問を「堂々と」出来る人のほとんどは就活でうまく行きます。

「堂々と」が重要なのですが、最初からこれをするのは難しいかもしれません。

ですが、そもそも質問すらしないのでは何も始まりませんよね。

最初から上手い質問をしなくて良い

質問する>>>>>>質問しない

です。

上手い質問も質問の数をこなさなければ一生できません。

まずはとにかく質問の数をこなしましょう。

質問の質を気にするのはそれからでいいはずです。

とにかく発言してみる

本当に些細な疑問で構いません。

小さな質問でも良いのでまずは継続することを優先しましょう。

実際に質問してみると、毎回何かしら反省点や「もっとこう質問すれば良かった・・・」といった後悔も出てきます。

ここで得られた点を必ず振り返って次のゼミに反映させるようにしましょう。

質問する→改善点を探す→実際に改善を試みる→再び質問する

このサイクルを繰り返しましょう。

まずは何でもいいのでまずは質問してみてください。

まとめ

最後に全体のまとめ、追加メモを一通り書いておきますね。

発表者側の場合

①ニュースやアラートを気に掛けておく (割と常日頃)

②発表の直前までに目星がついていなければ紹介したジャーナルリストを当たって探す (だいたい2週間前)

③それでも見つからなければキーワード検索 (ここに至ったことはほぼない)

④選んだ論文をまず一通り読む。

科学ニュースで見つけた場合は日本語のハイライト等の情報がネットに落ちている可能性が高いのでそれを先に読んでおくと理解が圧倒的に早くなるのでオススメ。

わからない英単語は調べる。

疑問点をメモする程度に留め、まずは1周目を読み終える。

Google翻訳を使って概要を把握するのもあり。

⑤ 2回目を読む: もう一度読みながら、1周目でメモした疑問点を調べる。ここは時間が掛かる。

日本語で調べて出ない情報は英語で調べる。

英語の原著論文から情報を探せると尚良い。

少し調べてみてわからない部分は調べすぎずにメモしておく。

⑥ 先輩や先生に聞く: 2周目で自分で調べてもわからなかった部分を先輩や先生に聞いてみる。

常識すぎて逆に調べても出ないような情報などは即答で教えてくれる可能性が高い。

先輩や先生だったらどうやって調べるのか聞いてみるとヒントが得られることもある。

⑦ 再度自分で調べる: ⑥ でわからなくてもヒントが得られればそれを元にもう一度調べてみる。

ここでもわからないことはもうわからなくても仕方ないと割り切る。

引用文献にも目を通しておく。

⑧ 発表練習する: とにかく何度も練習する。

原稿なし推奨。

ボイスレコーダーで自分の発表を客観的に聞いてみると改善の質が上がる。

声に出して練習していると論理的におかしい部分や新たな疑問点、質問で聞かれることが浮かぶことがあるのでまたメモしておく。

発表練習と並行して疑問点を調べたり、質問に対する回答をメモしておく。

⑨ 質問対策をする: 自分が聞く側だったら何を疑問に思うかをリストアップし、それに対する回答を用意しておく。

思いつかなければここでも先輩や先生に聞いてみるのもあり。

⑩ 発表する: 練習通りにやるだけ。

前日はしっかり寝ましょう。ご飯をしっかり食べましょう。

⑪ 発表後にフィードバックをもらう: 色々教えて頂いた先輩や先生に発表に関してフィードバックをもらうと良い。次の改善に繋げる。

自分が聞く側の場合

①質問するつもりで聞く

うまい発表者がいた場合はなぜ上手いと思うのかを考えてみる。

それを真似したり、実際にどうやって準備しているかを聞くのもあり。

②とにかく質問する

些細な疑問でも良いのでとにかく質問して発言することが大切。

まずは量をこなすことで質問の質が上がる。

最初から上手い質問をする必要はない。

緊張する訓練にもなるので後々役立つことがたくさんある。

何より発表者は質問ゼロよりも絶対に質問が来る方が嬉しい。

質問するときは出来たら表情を柔らかく。

攻撃的な質問に捉えられないように気をつける。あくまでこちらが「教わる側」であることを忘れない。

今回の記事は以上になります。充実した研究室ライフを送れることを願っています!

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